このツールでできること
月給(または時給)と、1か月に働いた残業・休日・深夜の時間を入れると、割増賃金(いわゆる残業代)の金額を計算します。割増賃金とは、法律で決まった時間を超えて働いたときや、夜や休日に働いたときに、通常の賃金に上乗せして払われるお金のことです。
- 残業が月に何時間あると、いくらになるのかを知りたい
- 月60時間を超えた分の割増率が上がることを、金額で確かめたい
- 給与明細の残業代が合っているか、おおまかに確認したい
結果には、1時間あたりの基礎賃金、合計額、区分ごとの内訳が表示されます。金額は額面(税金などを引く前)です。
使い方
- 月給から計算するか、時給を直接入れるかを選びます。
- 月給の場合は、割増の基礎になる月給と月平均の所定労働時間を入れます。基礎になる月給には、通勤手当・家族手当・住宅手当などを含めません。
- 法定時間外労働の時間を入れ、そのうち深夜(22時〜翌5時)にあたる時間も入れます。
- 法定休日に働いた時間と、そのうち深夜の時間があれば入れます。
- 時間外ではない深夜勤務(シフトで夜に働く、など)があれば、最後の欄に入れます。
「法定時間外」とは、1日8時間・週40時間という法律上の上限を超えた時間のことです。会社の決めた勤務時間(所定労働時間)が7時間のとき、8時間までの1時間は法定時間外には当たりません。また「法定休日」とは、法律で与えなければならない週1日(または4週で4日)の休みのことです。
計算方法
割増賃金は、労働基準法第37条で定められています。まず、1時間あたりの基礎賃金を出します。月給の場合は、月平均の所定労働時間で割ります(労働基準法施行規則第19条)。次に、区分ごとの割増率と時間をかけます。
1時間あたりの基礎賃金 = 月給 ÷ 月平均の所定労働時間
割増賃金 = 1時間あたりの基礎賃金 × 割増後の率 × 時間
割増後の率は、次のとおり最低ラインが決まっています。
| 区分 | 率 |
|---|---|
| 法定時間外(月60時間まで) | 1.25倍 |
| 法定時間外(月60時間超) | 1.5倍 |
| 深夜(22時〜翌5時)の割増分 | 0.25倍を加算 |
| 法定休日 | 1.35倍 |
深夜と重なるときは、割増分が足されます。時間外と深夜が重なれば1.5倍、休日と深夜が重なれば1.6倍、月60時間を超えた時間外と深夜が重なれば1.75倍です。法定休日には「法定の労働時間」という考え方がないため、休日労働と時間外労働の率は重ねて足しません。
時間外と深夜が重なる時間は、月60時間までの部分に含まれるものとして計算します。60時間を超えたあとに深夜残業をした場合、実際は1.75倍になるため、このツールの結果より多くなることがあります。
このツールの端数処理は、1時間あたりの基礎賃金と区分ごとの金額について、1円未満を50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げています。会社によっては別の丸め方をしていることがあります。
計算例
| 条件 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 月給300,000円・月160時間・時間外40時間(うち深夜5時間) | 基礎1,875円。35時間×1.25+5時間×1.5 | 96,094円 |
| 月給250,000円・月163.33時間・時間外20時間 | 基礎1,531円。20時間×1.25 | 38,275円 |
| 時給1,500円・時間外80時間 | 60時間×1.25+20時間×1.5 | 157,500円 |
| 時給1,500円・法定休日8時間 | 8時間×1.35 | 16,200円 |
| 時給1,500円・深夜のみ10時間 | 10時間×0.25(割増分のみ) | 3,750円 |
最後の例の「深夜のみ」は、所定労働時間内の深夜勤務です。この時間の通常の賃金は月給や時給にすでに含まれているため、ここでは上乗せ分の0.25倍だけを計算しています。
よくある質問
- 月60時間を超える残業の割増率は、中小企業でも50%ですか?
- 月60時間を超える時間外労働の割増率は50%以上です。中小企業には猶予がありましたが、2023年4月1日から中小企業にも適用されています。
- 基礎賃金に入れない手当はありますか?
- 労働基準法施行規則第21条で、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、基礎賃金に含めないと決められています。名前ではなく実態で判断される点に注意してください。
- 固定残業代(みなし残業)がある場合はどうなりますか?
- 固定残業代として受け取っている分は、その時間分の割増賃金の前払いです。このツールの結果から、すでに受け取っている固定残業代を引いて考えてください。
- 管理職だと残業代は出ませんか?
- 「管理監督者」にあたる人は、時間外と休日の割増賃金の対象外です。ただし、肩書きだけで決まるのではなく、仕事の権限や待遇などの実態で判断されます。なお、深夜の割増賃金は管理監督者にも必要です。
- 時間は分単位で入力できますか?
- 15分は0.25、30分は0.5、45分は0.75のように、時間の小数で入力します。1か月の合計時間の端数は、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる扱いが認められていますが、ただし、これは1か月の合計時間についての扱いで、1日ごとに切り捨てることは認められません。このツールでは入力した時間をそのまま計算します。
このツールは、法律が定める最低ラインの率による一般的な計算です。就業規則や雇用契約で、これより高い率が決まっていることもあります。個別の事情にもとづく賃金の判断は、勤務先や労働基準監督署などにご相談ください。